大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和31年(あ)3077号 判決 1957年3月29日

本籍

東京都台東区新坂下町二〇番地

住居

同都武蔵野市吉祥寺二一二八番地

興行師

納谷留蔵

大正四年五月一八日生

本籍

同都北多摩郡小金井町小金井二六〇四番地

住居

武蔵野市吉祥寺二七〇〇番地 北洋荘内

興行師手伝

渡辺武男

大正一五年一〇月一〇日生

右被告人渡辺武男に対する恐喝、被告人納谷留蔵に対する恐喝幇助被告事件について昭和三一年七月二三日東京高等裁判所の言渡した判決に対し各被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件各上告を棄却する。

理由

被告人両名の弁護人日沖憲郎の上告趣意第一点について

所論は、原判決においてその説示に適切でない判例を引用しているから、判例と相反する判断をしたものにほかならないと主張する。しかし、原判決は最高裁判所の二個の判例を引用して本件において恐喝罪の成立があることを説示しているのであるが、その一判例(刑集六巻三号四五〇頁以下所載)の趣旨は、判文上からは必ずしも右説示の趣旨に副うものではないとも認められるけれども、他の一判例(刑集九巻一一号二一七三頁以下所載)は右説示の趣旨に適切なものであつて、引用はこの判例のみで足りるものといわなければならない。されば原判決の判示は全体として少しも判例に反する判断を示したものということはできない。論旨は採るを得ない。

同上告趣意第二、三点について

所論は事実誤認、量刑不当の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

記録を調べても、本件につき同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 池田克 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)

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